2025年度「学問への扉」担当教員アンケート調査の結果の概要
【調査目的】
「学問への扉」のさらなる質の向上をめざし、実施した授業の実態について教員側からみた工夫や困難、各種教員への支援の有用性や学生の能力向上の実感を把握すること、それらの年次比較を行うことを目的として、毎年度同一項目を含む質問紙調査を行っています。
【調査時期】
担当教員を対象とした質問紙調査を2025年8月4日から8月30日までを回答期間としてオンライン(大阪大学SLiCSセンターのWebアンケートシステム)で実施しました(回答者数:130名)
【調査結果のポイント】
l 取り入れた教育方法の動向や担当者便覧・FD研修の参考の程度については、例年と大差ない傾向であった(問1・問3)。「学問への扉」が導入されてから7年目となり、5回以上担当しているという教員も一定数いた。(問2)。
l 昨年度までと比較して、効率的な授業運営などの目的で、オンライン授業を取り入れたクラスもいくつかみられたものの、7コマ以上オンラインという授業はなくなった。(問6)。
l 学生の能力については、どの項目も大きな変化はなく相対的に高得点であるが、特に「分析的・批判的思考力(クリティカルシンキング)」「プレゼンテーション能力」「コミュニケーション能力」「問題を発見することができる能力」「自由に発想することができる能力」での回答はやや上昇がみられた(問9)。
1.「学問への扉」の授業において、どのような教育方法を取り入れられましたか?
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2.「学問への扉」をご担当されるのは、何回目(何年目)ですか?
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3.「学問への扉」担当教員向け支援について
担当者便覧をどの程度参考にされましたか?
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4.担当者FDをどの程度参考にされましたか?
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5.「学問への扉」をご担当されて、よかったと思う点
「17名と少数の、多様な学部の学生たちと、やり取りしながら学習することは、教員にとっても楽しい経験であった。受講者の学習意欲も高く、積極的に取り組んでくれたと思う。」(人間科学研究科教員)
「普段は親しく話をしない学生と交流できる点。回を重ねるごとに受講生同士の間の心理的距離も縮まっていくのを実感できる点。」(人文学研究科教員)
「今年入学の学生の気質、学習態度、生成AI使用についての感覚について知ることができました。」(全学教育推進機構教員)
「普段は留学生教育を行っているが、「学問への扉」では学部に所属する学生を担当することができ、彼らが普段どのようなことを考え、何を頑張っているのかを知ることができた。」(日本語日本文化教育センター教員)
「大学1年生というフレッシュな頭で知らないテーマに取り組む様子をみて刺激を受けた。講義科目よりも確かに学生との距離感が近かった。」(理学研究科教員)
「能動的な学びに慣れていない学生たちが、短期間で成長する様子を見ることができた。参加者自身および参加者の友人たちが、行動経済学研究会という行動経済学の学生サークルに参加して、授業での学びをより深くする動機づけになった。」(感染症総合教育研究拠点教員)
「やる気にあふれる1年生に近い距離で接することは、自分にとって良い経験です。メディアリテラシーをリマインドすることで、ほぼ半数の学生が劇的に発表を改善する様は、気持ちがすく思いがしました。」(医学系研究科教員)
「様々な学科の学生さんと触れ合うことで、わかりやすい説明について考える良い機会となった。」(接合科学研究所教員)
6. 今学期の「学問への扉」で、どのくらいメディア授業(オンライン授業)を実施しましたか?
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7.「学問への扉」をご担当されて難しかった点、困った点があれば、ご自由にお書きください。
「学生のレベルにかなりの差があり、最後のレポート課題は非常に優れたものを書いて提出する学生がいるかと思えば、提出せずに終わる者もいた(1件だけだが、生成AIで書いたとおぼしき提出物もあった)。教室での授業態度も同様で、過去の同授業の経験の中でも今回は、モチベーションの高低の2極化が目立った。」(人文学研究科教員)
「教室の机が長机のスクール形式で、毎回モチベーションを上げるための学習環境(コの字型やグループワーク形式)に教室のレイアウトを変えるのが大変だった。また、エアコンの効きが悪く、教室移動をしなければならなかった点も大変だった。」(全学教育推進機構教員)
「仕掛けの実験をする際に、実験場所の使用許可申請や研究倫理審査にかかる負担が大きい。具体的には、申請書類の雛形を作成してそれを学生に埋めてもらうこと、申請場所が多岐に渡り場所によって窓口が異なること、申請後の先方とのメールでのやり取りや場合によっては対面での説明が必要であること、など。これまでに何度もお願いしてきたことですが、「学問への扉」に限って手続きを簡略化して欲しいです。」(経済学研究科教員)
「教室が使いにくかった。プレゼンテーション機器が壊れていて全く使えなかった。仮に使えたとしても、教室の上方片隅に小さなモニターがあるだけなので役に立たなかったと思う。普通にプロジェクターとスクリーンがあると全然違ったと思う。」(理学研究科教員)
「学生が希望して決定した授業でないことにより内容の理解が難しく思われた。学生のモチベーションも低かった。豊中キャンパスへの移動や授業開始時間にこちらが合わせるのが大変だった。」(歯学研究科教員)
「合否科目なので出席必須(やむを得ない欠席は事前に連絡)としているが、他の授業と同じ感覚で、(事前連絡なしに)欠席をする学生がいた。該当学生には、補習対応をしているが、少し負担が大きい。」(基礎工学研究科教員)
8.「学問への扉」にメディア授業(オンライン授業)を取り入れた場合、工夫した点、大変だった点をご自由にお書きください。
「オンデマンド形式を1回のみ取り入れたが、その際は文献の調査の仕方や、論文の書き方など技法的な部分の涵養に利用した。」(人文学研究科教員)
「阪急電車が事故で止まったときに、Zoomで授業を記録して後でEchoで見られるようにしました。」(全学教育推進機構教員)
「教材作りに時間がかかった。」(高等司法研究科教員)
「初学年ということもあり、対面重視で行った。」(人間科学研究科教員)
「学生同士でも情報交換をするように指導した。」(蛋白質研究所教員)
「文系の学生に対しても、私の専門分野(スピントロニクス・エレクトロニクス)を研究する意義をお伝えできるように、学生が馴染みやすい社会・一般の話題とどう関連するのか意識してイントロを準備しました。」(先導的学際研究機構教員)
9.「学問への扉」の授業を通じて、以下の項目を学生に身につけさせることが、どの程度達成できたと思われますか?
「6 十分達成できた」「5 だいたい達成できた」「4 少し達成できた」「3 あまり達成できなかった」「2 ほとんど達成できなかった」「1 全く達成できなかった」のうち、最もあてはまると思うものを選んでください。(授業内容に該当しない場合は、回答から除外)
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10. 「学問への扉」の成績評価について
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11.学生配属システム等、科目運営上、改善を望む点があれば、ご自由にお書きください。
「学生によれば、月曜には他の授業が詰まっているため5限の「学問の扉」は総じて敬遠されているとのこと。このため、この枠に授業が入ると、第8希望にも含めていなかったという、授業内容にまったく関心のない学生と授業をすることになる。時間割のやり繰りが難しいことは承知の上であるが、もう少し受講しやすい時間帯に「学問の扉」を割り振っていただきたい。」(高等司法研究科教員)
「希望していない授業に配属される学生が一人でも少なくなると良い。授業をテーマ別やスタイル別にカテゴライズできるならば、たとえば第4希望以下は個々の授業を選ぶのではなくカテゴリーで選ぶといった方法も可能でしょうか。(カテゴリーについては、授業提供教員が選ぶ。)」(全学教育推進機構教員)
学外でのフィールドワークを取り入れたい場合は、集中講義の形式の方がやりやすいと思いました。(人間科学研究科教員)
「1クラスの上限が17人で今年も17人が配属になったが、17は素数であるためにグループワークを行う際にグループ分けが均等にならない問題がある。 学問への扉はグループワークを奨励するとのことであるが、そうであるのならば、グループ分けがしやすいように1クラスの人数を16人、18人ないし20人となるようにしてほしい。」(国際公共政策研究科教員)
「17名の受講生の内15名が同じ学科の学生で、マチカネゼミの趣旨である「異分野の学生とも接し、異なったものの見方や課題解決の道筋を意識する場とする」とはかけ離れた配属になっていました。こちらが用意したシラバスの書き方にも問題があったのかもしれませんが、学生がテーマと選択する際にマチカネゼミの趣旨が伝わっていないのではと思います。また、現在は希望順で機械的に決めているのかもしれませんが、配属決定の際に同じ分野の学生が固まらないような工夫ができると良いと思いました。」(理学研究科教員)
「グループワークでも平気で休む学生さんがおりますので学生さんの社会性の低下を感じております。できればそういった部分をガイダンス等でしっかり言って頂く等、改善するよう努力頂きたいです。」(基礎工学研究科教員)
「本来希望していない順位(かなり希望順位が低い)での割当となったと学生から相談されて、困りました。」(工学研究科教員)
「教室サイズに比べて、スクリーンが小さかった。これに加えて、プロジェクターが暗かったため、学生のモチベーションをさらに上げるためには、問題点と感じるポイントの改善が期待される。」(医学研究科教員)
※貴重なご意見を多く頂戴しました。ありがとうございました。ご意見につきましては関連部署とも検討のうえ、今後の全学教育における支援や次年度以降の「学問への扉」の実施に役立てて参ります。
