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  • 2019年度

特殊相対論から量子色力学まで

担当教員:石井 理修先生(核物理研究センター)

担当教員の狙い

  • 物理学に興味を持ってほしい

ここがオモロイ!!

  • 多様な学部の学生に対する工夫!
  • 書籍を教科書として活用する方法!

コースデザインと学びのプロセス

書籍の章タイトル 学習内容
1

のろのろ町:1

ローレンツ変換/ローレンツ収縮

2

のろのろ町:2

自然界の制限速度/相対性原理/時間の遅れ

3

のろのろ町:3

同時性

4

のろのろ町:4

特殊相対論まとめ

5

トムキンスの休暇

因果律

6

量子ビリヤード:1

粒子と波動の二重性

7

量子ビリヤード:2

シュレデインガー方程式/確率波

8

量子ビリヤード:3

期待値/井戸型ポテンシャル

9

陽気な電子たち

パウリの排他率/原子と分子/陽電子

10

原子核を作る老人

原子核

11

何もない所にあいた穴

ディラック方程式/空孔理論

12

原子破壊器を見学する

陽子は何で出来ているか?

13

教授の最後の講義:1

量子色力学とカラー閉じ込め

14

教授の最後の講義:2

対称性の自発的破れと質量

15

議論

レポート作成

授業の概要(シラバスを一部引用)

特殊相対論や量子論に関する基礎的な感覚が養われ、双子のパラドックスや不確定性原理等が説明できるようになることを目標としています。
具体的には、科学小説「不思議宇宙のトムキンス」を読み、議論を通して、現代物理学の基本となる特殊相対論と量子論の基礎的な教養を易しく身につけていきます。

多様な学部の学生に対する工夫!

本授業は、物理学に関する内容で、特殊相対論や量子論の内容が展開される専門性の高い授業です。
専門性が高く、受講にあたって高校までの知識が問われる場合、シラバスに示すことが有効とされています。
本授業ではそれに加えて、初回の授業で受講生の習熟度を確認されています。
このように受講前に学習者の習熟度を把握することは、一般的に診断的評価と言われており、学習者に応じた授業の内容や方法を選択するために効果的であると言われています。
本授業のように学生自身の学習経験を尋ねたり、他には簡単なアンケートなどを実施して、学習者の状況を把握したりする方法もあります。

様々な学部の学生の受講が想定されることから、本授業では、受講生に深い理解を求めるというよりは、物理学に興味を持ってもらうことを目標にされており、興味を持つことで、おのずと理解が深まると考えられています。
興味を持ってもらうために、授業では数式を多用するのではなく、受講生が現象やキーワードを理解できるよう、授業内容の選定を工夫されています。
授業内容のレベル設定としては、高校時代には学ばなかった新しいことを扱うため、難しい側面もありますが、既有の知識の上に、新たに学ぶ知識を加えることで、興味をかきたてることを、ご自身の経験から心がけておられます。
先生は、授業中に学生へ声がけをしたり、授業内外で学生からの質問を受けたりすることで、学生とコミュニケーションをとり、学生の個々の興味を確認されています。

また、本授業では授業で用いるスライドにイラストを挿入するなどして、できるだけ内容の学習に取り組みやすいような工夫もなされています。
このようにスライドを用いる授業の場合、視覚的な情報提示は、学習者の理解を深めることにもつながります。

伝わりやすいスライドデザインとは?(全学教育推進機構教育学習支援部 浦田悠)
資料が見づらい場合、聴衆はその内容を難しく感じてしまい、内容を理解しようとするモチベーションも低くなることが研究で明らかになっています。
見やすく、伝わりやすいスライドにするためには、書体や文字の大きさ、図解化などの工夫をするとよいでしょう。
書体については、視認性(目立ちやすさ)、可読性(読みやすさ)、判読性(読み間違えの少なさ)が高いものを選ぶことが重要ですが、スライドでは、長い文章を見せることは少ないため、より視認性に優れているゴシック体やサンセリフ体を選ぶのが一般的です。
24ポイント以上の大きさを保ちつつ、メイリオや游ゴシック、モリサワのUD(ユニバーサルデザイン)フォントなどを利用すれば間違いないでしょう。
また、ユニバーサルデザインという観点からは、配色についても注意が必要です。
色覚異常は、男性では20人に1人、女性では500人に1人ほどいると言われていますので、大人数講義の場合は、かなりの確率で「赤と緑」「青と紫」などの色の組み合わせが見づらいという人が含まれます。
そもそも「1つの色に1つの意味」という原則に基づいてむやみに色を使いすぎないことが重要ですが、スライドでいくつかの色を組み合わせて使う場合には、暖色系と寒色系を組み合わせる、明度に差をつけるなど、色覚バリアフリーを意識してみてください。

書籍を教科書として活用する方法!

本授業では、科学小説である「不思議宇宙のトムキンス」を教科書をとして指定されています(ジョージ・ガモフ/ラッセル・スタナード著(青木薫訳)2015年,白揚社)。
授業はこの書籍の内容に沿って理解を深め、時には批判的に検討する形で進められますが、以下の様に各章と内容を対応付けられています。
学生は授業の前に読書課題が求められており、内容を把握した上で授業に参加することとなっています。
ただし、難しい内容は途中で省くなどして、できるだけ網羅的に内容を扱っておられます。