• 理系
  • 工学
  • 2019年度

缶ジュースを冷たく飲む方法

担当教員:芝原 正彦先生(工学研究科)

担当教員の狙い

  • 専門としてではなく熱工学が面白い、役に立つ、ということを知って、興味を持ってほしい

  • 論理的思考を鍛錬してほしい

  • プレゼン・グループワーク・レポート作成のスキルを向上させてほしい

ここがオモロイ!!

  • 学生が興味を持つ内容の選定!
  • 実験で実際に課題検証する方法!

コースデザインと学びのプロセス

学びのプロセスと教授法 授業外学習
1

イントロダクション

 
2

ディスカッション

 
3

実験

 
4

講義 (レポート・プレゼンの方法)

レポート作成

5

発表

 
6

発表

レポート作成

7

講義

関連文献調査

8

図書館にて資料収集

関連文献調査

9

ディスカッション

実験方針の考案

10

実験準備

 
11

実験

発表準備

12

発表準備

 
13

発表

 
14

講義

 
15

講義

レポート作成

授業の概要(シラバスを一部引用)

省エネルギーに関する諸問題の解決や熱効率のよい機械を設計するためには、熱の問題を科学的あるいは工学的に考えることを避けて通ることができません。
本授業では、そのような省エネルギーの問題と深く関連する熱の問題の身近な例として、「冷えた缶ジュースをA4の紙1枚だけを使ってできるだけ長時間低温に保つにはどのようにすればよいのか?」という問題をグループに分かれて取り組みます。
熱に関する身近な現実問題について、実験的あるいは理論的に考えること、あるいは、グループでディスカッションすることで、工学的な実問題を科学的に解決する方法の端緒を自発的に学ぶことを本授業の目的とします。
また、レポート作成、文献調査、プレゼンテーション、グループワークなどの基本事項の習得も目指します。

学生が興味を持つ内容の選定!

本授業は「缶ジュースを冷たく飲む方法」という、多くの学生が興味を持ちそうな魅力的なサブタイトルが設定されています。
授業では、熱工学の基礎を学び、自分たちで試行錯誤しながら実験を行い、缶ジュースを冷たく飲む方法を探ります。
難しい課題ではありますが、先生からの講義だけでなく、課題遂行に向けて実際の文献に触れるために、学生は図書館で伝熱工学の専門書を探して借りてくることにも挑戦します。
講義では、伝熱工学の理論についてお話されますが、様々な学部の学生がいるので、できるだけ専門に偏らない説明で、数式は使わないように心がけておられます。このように、専門の内容について身近な素材を用いて実験を行うことで、多様な学生の興味を引くことができます。
また、先生が本授業と同時期に担当されている大学院生の授業では、並行して同じ課題を、実験ではなくコンピュータプログラミングで実施されています。
プログラミングでの結果を本授業の学生と共有することで、受講生は缶ジュースを冷たく飲む方法についてさらに異なるアプローチを知り、より興味を持つことができます。

実験で実際に課題検証する方法!

分野を問わずに経験できる実験づくり

本授業では、「缶ジュースを冷たく飲む方法」を探るために、学生たち自身で考えた独自の方法によって2回の実験を行います。
授業は実験室ではなく、通常の講義室で行われていますが、温度計以外には、紙やテープ等、身近にある素材を用いて、学生の自由な発想に基づいて行われます。
グループ構成はクラスの代表者が中心となって話し合い、あみだくじで決定し、4人一組で構成されます。
課題は、「いかに缶ジュースの冷たさが持続するか」というわかりやすいもので、作戦を練るために、グループ内では十分にコミュニケーションをとる必要性があります。
1回目の発表会において、先生や他のグループのメンバーからフィードバックを受けて改善を施し、2回目の実験に移ります。
継続的に考える必要があるため、2回の実験は同じグループで行われます。
しかし、学生たちが2回の実験でとても高いパフォーマンスを示したため、2回目の発表会では、グループメンバーをさらに二つに分け、ペアでの考察・発表がなされました。
そうすることで、より個々の学生の力が可視化されます。発表会では、先生が作られたくじ引きで順番が決められましたが、このような仕組みが、緊張感と楽しさの誘引となっています。

実験結果のまとめ方 

本授業では、レポート作成が3回求められます。
1回目は、実験を対象としたものではない省エネルギー技術に関する題材で、2回目は実験①、3回目は実験②に関するレポートです。
レポート課題の前である4回目の授業では、レポートの書き方の講義がなされ(普段は2年生以上用に作られている教材を援用)ます。
提出されたレポートは先生からフィードバックがあるため、徐々に改善されたレポートが提出されるようになります。
また、それぞれの実験結果について、プレゼンも求められます。
実験結果のまとめ方については、先生から考察の方法についてのアドバイスがなされるため、発表者はデータに基づいた考察を行うことができます。
このように、実験結果のまとめ方を、レポート・発表と異なる形で求めると同時に、取り組むための方法を様々な形で示されています。
受講生たちは今後、他の授業や研究でもこのスキルを活用することができるでしょう。