• 文系
  • 人間科学
  • 2019年度

社会で役立つ「研究力」を身につける

担当教員:山下 仁司先生(高等教育・入試研究開発センター)

担当教員の狙い

  • 高校での学びから、新しい知識を生み出す学びへの転換をしてほしい

  • ゼミに配属された際、自分で問いを見つけられるようになってほしい
  • できるだけ漠然とした課題に取り組み、研究と同じサイクルを体験してほしい

ここがオモロイ!!

  • 社会とのつながりを体験する!

  • 評価とリフレクションから学ぶ!

コースデザインと学びのプロセス

授業外学習

授業外学習
1

オリエンテーション

 
2

講義

ワーク  
3

講義

ワーク

 

4 ゲスト講義

 

5

グループワーク

 

 

 発表準備

・アンケート調査
・実地調査・現地視察
・統計的データの収集
・先行研究や事例収集
・提案の原価計算

 

6

グループワーク

7 中間報告会
8

グループワーク

9

グループワーク

10

グループワ

11

グループワーク

12

最終報告会

13

リフレクション

14

共同発表会

 
15

リフレクション

 

授業の概要

大学で身につけるべき研究力、すなわち主体性、正解が決まっていない課題の発見と解決のありようを体験し、理解することを目的としています。
具体的には、実際の企業の担当者から会社の抱える課題を提供してもらい、それを少人数グループで数週間に渡って検討し、解決していきます。
最終的には、企業担当者に向けて、グループでプレゼンテーションを行い、実社会の観点で評価します。
また、授業内では統計的データ解析手法、課題解決の手順、KJ法などの発想・思考ツールなどを身につける講義や演習もあわせて行います。

社会とのつながりを体験する!

本授業では、学生が、企業が実際に抱える課題の解決に取り組みます。
仮想ではなく、実際に企業の方が授業に来られて課題を提示し、学生の成果物に対してフィードバックがなされます。
課題は、「○○会社の企業価値を高めるには」といったテーマであり、それぞれ5~6名のグループ(3グループ)で取り組みます。
プロジェクトの序盤には、ブレーンストーミングやKJ法、統計演習などが行われ、自分たちで課題に取り組むためのスキルや方法を学びます。
このように、学生が後に研究で必要になる統計などの知識は、単独の学習項目ではなく、プロジェクトに活用するための方法として授業デザインに組み込まれています。

企業からの課題に取り組んだ成果は、中間報告会ならびに最終報告会にて発表します。
中間報告会では企業側から、やや厳しいフィードバックを受けたようです。
そのことで、学生にとって課題に取り組むことが「他人事」から「自分事」へと変わり、授業外で課題に取り組む活動としてアンケート調査などが行われ、活動時間も増加しました(平均授業外学修時間は、中間報告前が1.09時間/週だったのが、2.36時間/週に増加)。
結果的に、最終報告会では、内容が大幅に改善され、企業側からも好評のコメントを受けました。

また先生は、特定の学問に偏らないように授業をデザインされています。
学部混合なので、特定の専門に偏るとただ乗り者(フリーライダー)が出てしまうからです。企業からテーマをもらう事もそれが理由の一つです。
研究でも社会に出ても役に立つ、問いの立て方や課題解決の方法を身につけることを狙っているのです。
そのため、提示される課題は、「新商品の立案」のようなアイディア勝負のものではなく漠然としたもので、大まかな課題に対し自ら主体的に条件を設定して、具体性のあるものに定義しなおす事から始めます。
物事を論理的に考え、他者と協働したり調整したりしなければ提案できないような課題を設定することで、実際の企業社会で起きる問題解決に近い状況を創り出されています。

評価とリフレクションから学ぶ!

本授業は、グループプロジェクトに取り組む時間が多くなりますが、ふりかえり、ならびに自己・他者評価を取り入れることでフリーライダーを防止しています。
まず、学生自身のパフォーマンスを客観的にふりかえさせるために、発表会の様子をビデオで撮影しており、学生自身がWeb上で映像を見て、リフレクションするための環境が整えられています。
また、毎回の授業でもリフレクションの時間をとり、リフレクションシートに記述させ、それに先生がコメントを入れることで、学生自身の行動の意味づけを促進しています。
シートには毎回その週のグループ運営と議論に貢献した者の名前を記入させ、投票された数を数えて該当者のシートに記入して次週に返却します。
このような評価制度を導入することで、自分自身のグループ活動への貢献度を可視化することができます。
さらに、発表の際には、ルーブリック(評価基準表)を用いて評価をします。
予め先生が作成したルーブリックは、学生側に提示されますが、その基準で先生と企業側の方が発表内容を吟味し、1位のグループが決定します。
このように、客観的、主観的に様々なことをふりかえる機会を作ることで、学生自身は活動を意味づけることができます。