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  • 人間科学
  • 2023年度

認知心理学への招待

担当教員:郷原 皓彦 先生(人間科学研究科)

担当教員の狙い

  • 「学問」としての心理学を知る!
  • 科学的な実験や調査、研究にふれる!

ここがオモロイ!!

  • 認知心理学の研究方法や実験について具体的な事例や体験から学べる!
  • 気になるテーマについて研究計画を立ててみる!

コースデザインと学びのプロセス

学びのプロセスと教授法 授業外学習
1 イントロダクション コメントシート、グループでのプレゼンテーションの準備
2 講義
3 講義
4 講義
5 講義
6 講義 実験の体験
7 講義 データ分析の体験
8 グループワーク
9 グループワーク
10 グループワーク
11 発表と全体議論
12 グループワーク
13 グループワーク
14 グループワーク
15 発表と全体議論

授業の概要(シラバスを一部引用)

 誰もが一度は耳にしたことがある「心理学」。しかし、メディアなどで出会う「心理学」と学問としての心理学には、違いもあります。本授業では,さまざまな学部に所属する学生が「認知心理学」という学問分野の背景や研究方法を学び,認知心理学の考え方に基づいて学術的な問いや研究計画を立案し議論することを目的とします。
 少人数だからこその教員と学生、そして受講生間の距離の近さを活かしながら、担当教員による講義、実験や分析の体験、グループ演習やディスカッションを通して、さまざまな角度から認知心理学という学問分野に触れる機会を提供します。

認知心理学の研究方法や実験について具体的な事例や体験から学べる!

 本授業の前半の回では、講義を中心に認知心理学の歴史や主要な研究方法を学ぶほか、実際の実験やデータ分析についても実際に体験することができます。受講生は、外国語学部や工学部など専門科目では心理学との接点は少ないですが、担当の郷原先生は、具体的な研究や実験を紹介するなかで、受講生の専門とも関連するようなトピックを取り入れることを心がかけているそうです。また、先生自身の研究など最新の研究例についても、「途中でこんな苦労があって…」という裏話も交えたリアルなお話が聞ける貴重な機会となっています。

 近年、心理学では、かつての実験結果が同様の調査で再現できないという「再現性問題」が議論となっています。そのような動向もふまえ、本授業では、専門の異なる受講生同士がディスカッションをしながら、心理学のアカデミックな論点についても理解や考えを深めることができます。

気になるテーマについて研究計画を立ててみる!

 授業の後半の回では、4人程度のグループに分かれ、実際に自分たちが気になる問いについて、認知心理学的な研究の計画を立てます。例えば、「青色のペンは暗記に効果的だといわれるけれど、それは本当なのか」や「つけるマスクによって、相手に与える印象は変わるのか」など、日常生活の中で思いついた疑問をもとに各班ユニークな計画を立てていました。

 その問いについて、先行研究のレビュー、調査対象やデータ収集方法の決定、仮説と予想される結果の提示まで、力を合わせてプレゼンテーションにまとめていきます。その過程では、実際の研究プロセスと同様に、どのような調査をすればいいか悩むことや、当初の案ではスムーズにいかず、別のプランを考えなければならないこともあります。しかし、「その試行錯誤することこそ心理学の醍醐味」だと郷原先生は話します。自分たちでさまざまな視点から意見を出し合いながら、ときには先生のサポートも受けつつ、中間発表と最終発表の2回のプレゼンテーションに向けて、計画を練っていきます。

 また、プレゼンテーションでは、先行研究やサンプルについてわかりやすくまとめて示したり、予想される調査結果について説得的に説明したりすることも大切です。各班、イラストや写真、図表を用いながらわかりやすいスライドを作成し、ときには聴衆に予想結果を質問してみるなどの工夫を凝らしながら発表していました。
それぞれの発表に対しては、質問とコメントが受講生と先生から寄せられます。ほかの受講生からは、質問だけでなく工夫していてよいと思った点や「こうすればもっとよくなりそう」といった点も指摘されていました。その議論に加えて、先生がより専門的な見地から関連する議論や改善案を補足説明することで、受講生はさらに学びを深めていました。

 日々の中で人の心や行動について「なぜ?」と思うことは、意外とあるもの。その疑問をうやむやにせず、「どのようなことがこれまでの研究からわかっているのだろう?」と調べ、「こういうことがいえるかもしれない」と予想を立て、議論する――本授業では、このプロセスを実際に経験してみることで、科学としての心理学の実践について主体的に学ぶことができるのです。

※授業観察実施日:2023/07/25、インタビュー実施日:2023/08/02