東北大学「学問論」の取り組み

【東北大学】初年次教養教育科目「学問論」授業視察&高度教養教育・学生支援機構の先生方との交流(2022/08/01)

東北大学|中村教博教授(東北大学 高度教養教育・学生支援機構 副機構長・大学教育支援センター長)

概要

去る8月1日、本学の全学教育推進機構の村上正行教授と特任研究員Sの岡田で東北大学川内キャンパスに伺いました。東北大学では、本学の「学問への扉」と同様に、三菱みらい育成財団助成事業(カテゴリー4)の対象となっている「学問論群」http://ital.ihe.tohoku.ac.jp/academia/)という教養教育科目群が開講されています。その初年次科目である「学問論」の第15回目の授業の視察、および東北大学高度教養教育・学生支援機構、副機構長・大学教育支援センター長の中村教博教授へのヒアリング、高度教養教育・学生支援機構の先生方との情報交換を行いました。

「学問論」の授業の様子を拝見して感じたこと

東北大学も大阪大学同様、歴史ある大きな総合大学であり、1学年の全学生を対象とした統一的な授業を開講するには、時間割の調整や先生方の連携、学生のクラス分けの方法など、たくさんの工夫・課題が必要となります。「学問論」では、1クラス40人の授業を同じ時間帯に10クラス実施し、6コマ開講することで、東北大学の全学部の1学年2400人を対象にできるということです。

授業形式についても、たくさんの工夫や学習ツールの活用が行われていました。高度教養教育・学生支援機構の先生方が適材適所な役割分担によって、Zoomでのリアルタイム配信や事前録画による講義動画の配信、Googleスライドなどを用いたグループ・ワークなど、複数の教授法を組み合わせた授業を展開されていました。

90分の授業のなかで、学生たちは新しい知識を「なるほど…そういうことなのか」と受け止めながら、異なる学部の学生とも意見を交わして、学びを深めていました。15回目の授業テーマが「大学における学習の意義とは?」という深い問いであったこともあり、4月に入学したばかりの1年生ながら、それまでの授業回で学んできた大学教育の歴史などをふまえつつ、各自の視点・関心からの多様な意見やなかなか鋭い指摘を活発に交わす様子が印象的でした。

また、今回は学生それぞれが事前に執筆・提出した「大学における学習の意義」に関するレポート課題をもとに議論するという内容でした。そのため、それまでの授業で学んできたアカデミック・ライティングの要点をふまえつつ、それぞれの学生のレポートの書き方や議論の組み立てについても、「引用の書き方に少し不十分な点があるかも」「この論点・論理展開うまいよね」とピア・レビューを行いながら、実践的に理解を深めていました。その様子をみていると、どのような学問領域を専門とするにしても、1年生の前半でアカデミック・スキルズの基本を体系的に学び、しかもそれを実践に活かそうとできていることは、その後の学びや研究活動に着実につながっていくと強く感じました。

中村先生へのヒアリングをとおして

今回、「三菱みらい育成財団」でのオンライン交流会などでもお会いしたことがあった、東北大学高度教養教育・学生支援機構、副機構長・大学教育支援センター長の中村教博教授、「学問論」の実践に関わっている松河秀哉講師にお話を伺うことができました。「学問論群」科目の設立の経緯やカリキュラムの詳細、および東北大学の初年次・高度教養教育についての現状や今後の展望について、気になっていた情報を得ることができました。また、大阪大学における「学問への扉」、および日本全体での全学教育の現状や課題などもふまえて意見・情報交換を行うことができました。

そのなかで、かなり具体的に東北大学と大阪大学で共通する課題、そして、東北大学ではどのような工夫を行っているのかを知ることができました。今後さらに教養教育を充実させていくためには、TA・TFなどの人材確保や教材購入経費などの授業支援金を拡充していくことの重要性、学生のICTやデータ・リテラシーに関する知識・理解の促進、外国語運用力の育成など、両大学に共通する達成課題を再確認しました。「学問論群」、および東北大学での全学教育・教養教育に関する取り組みは、大阪大学でも参考になる部分が多く、大きな実りとなる交流ができました。

改めまして、温かくお迎えくださった中村先生はじめ、東北大学高度教養教育・学生支援機構の皆さまに御礼申し上げます。